[リスニング] Luke’s English Podcastは神


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イギリス英語を学ぶためのPodcast

生来の怠惰のため、英語学習に挫折し続けて来た私が、 初めて1年間毎日続けることが出来ている英語教材(?)がLuke’s English Podcastです。私は毎日これを聞いています。2009年4月にスタートし、2019年9月現在で600以上のエピソード*を配信している有名Podcastです。ブリティッシュ・イングリッシュを標榜しているPodcastとしては、最も有名なもののひとつと言っていいのではないかと思います。

*1年間毎日聞いていますが、面白くて何度も聞いてしまうエピソードも多数あり、まだ全ては聞けていません。この記事を書きながら気が付きましたけど、私、Luke先生について気味が悪いぐらい異常に詳しい。…ストーカーかな?

Luke’s English Podcast


このPodcastをやっているLuke Thompson先生はDELTA資格を持つイギリス人英語教師。イギリスのミッドランド地方で生まれ、ロンドンで育ち、現在はフランス人の奥さんと娘さんと3人でパリに住んでいます。先生になりたての頃に、2年ほど日本に滞在して英語を教えていた経験もあります。英語の先生になったのは2001年頃でしょうか?経験豊かなベテランの先生です。

「世界中の生徒たちに英語を教えている中で、ネイティブの自然なスピーキングを聞く経験が圧倒的に不足している事に気が付いた」というのがこのPodcastを始めたきっかけだそうです。


Luke先生の話す英語はクリアなRPアクセント*のため、全てとは言えませんが、私でも大部分の話の流れを追うことが出来ます。Luke先生曰く、このPodcastの1時間半のエピソードを最後まで眠らずに聞く事が出来たら、リスニングのレベルはB1**以上との事です。でも、多分1ランク下のA2ぐらいでも、エピソードを選べば楽しく聞けるのではないかと思います。 Luke先生の素晴らしさは一言では語り尽くせません。私が特に良いと思っている点を思いつくまま挙げてみたいと思います。

* Received Pronunciationの略。非常に簡単に言うと、BBCのアナウンサーが話している英語ということのようです。RPで話すのはイギリスの全人口の約3%程度とのこと。
** CEFRのB1レベル。英検2級以上、TOEICで550点以上ぐらい。


バラエティ豊かなトピック

Luke先生は英語教師であると同時に、現役のスタンダップ・コメディアンでもあります。大学の卒業論文は映画について書き、元はバンド活動もしていたそうです。海外旅行に行けばかなり過酷なアウトドア・アクティビティをしているし、元は山登りやボルダリング、サッカーもやっていたようです。ストリートファイター2も大好きだったため、元々日本に親しみを持っていたとのこと。

とにかく興味の範囲が広い。既に600以上のエピソードを配信しているにもかかわらず「まだまだやりたいネタが沢山ある!」と言っています。非常に好奇心旺盛で、高い企画力の持ち主だと思います。


イギリス文化に興味がわく

イギリス英語を学ぶために、イギリス全般について知っておく事は非常に役立ちます。このPodcastではイギリスの文化や政治や日常についての話題が多く、自然に興味を持ち、学ぶことが出来ると思います。


もしかしてイギリス人はイギリス産のビールをあんまり飲んでないんじゃないかと思う今日この頃

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例えば’Episode.100 Going to The Pub‘では、「パブに行く」という一点について、お兄さんであるJamesさんと実際にパブで飲みながら1時間以上あーでもない、こーでもないと話をしています。パブではこう振舞うべきだ、いやそれは違うなどと、徐々に酔っ払ってくる2人の間でも意見がぶつかったりして、とにかくものすごい情報量です。きっとイギリス人は普段パブでこういうしょうもない細かい持論を戦わせてるんだろうなというのが分かり、2重の意味で勉強になります。

個人的に興味深いと思うのは歴史観に絡んでのエピソードです。一般のイギリス人であるルーク先生個人が、自国の歴史についてどのように捉えているかを知るのは非常に面白くて、それまであまり興味がなかったイギリスの歴史に関心を寄せるきっかけになりました。あくまでもルーク先生という一個人の見方ではありますが、専門家ではない、一般のイギリス人が、例えば、第二次世界大戦についてどう考えてるかなんて知る機会はなかなかないですよね。


ゲストも面白い

家族や友人も含めゲストのクオリティが高い!たまに招かれる他の英語学習Podcastの主催者や言語学習の専門家との会話もとても興味深く、英語学習のモチベーションの維持にもってこいです。

時折チェコ、フランス、中国など様々な国から、ネイティブではない英語話者も登場し、それも良いリスニングの練習になると共に、多くの人たちが、様々な理由で国境を越えて暮らし、言葉を学び、多彩な人生をおくっている話を聞く事が出来ます。 滅多に聞けない別世界の話なので、日本の地方に住む普通の会社員としてはとても刺激を受けます。

定番のゲストは下記のとおり。この他にも大量のゲストが出てきて、それぞれが面白い話をしてくれます。

【家族】
お父さん:元BBCのニュースレポーター。 Brexitをはじめとする政治・経済のニュースネタの時には、落ち着いた語り口で詳しい解説をしてくれます。

お母さん:家族全員出演のクリスマスのエピソードや、イギリス王室ネタの時に登場。お話しぶりからしてかなりインテリ×ポッシュなお母さんのようです。

お兄さん:ロンドンでグラフィックデザイナーをしている2歳違いのお兄さんとは大の仲良し。音楽の話、映画の話、休日の家族の話や子供の時の話など、多岐に渡る会話をしています。

【コメディアン仲間】
Paul Taylorさん:アップルコンピューターを辞めてフランスでスタンダップ・コメディアンになったイギリス人。英語、フランス語、スペイン語がほぼネイティブ並に使えるPolyglotだそうです。このPodcastが始まった当初は無名でしたが、YouTubeの動画がバズったことによってあっという間に知名度が上がり、自身の名を冠したテレビ番組を持ち、今ではフランスでは知らない人がいないほどの有名人になっているようです。面白くて私もすっかりファンになっています。フランス人の奥さんとの間に娘さんが生まれたばかりで、悪戦苦闘中。
Paul TaylorさんのオフィシャルYouTubeチャンネルはこちら

Amber Minogueさん:フランス人と結婚して、息子さんと3人でフランスに住んでいるイギリス人女性のスタンダップ・コメディアン。パリでツアーガイドの仕事もしていて、歴史や文化への造詣も深く、自身でもPodcastを持っています。一方で「若い頃にはパントマイムの学校に通うため、1日1ポンドで過ごしたこともある」という苦労人。「3人の中で最も賢く」て「世界一かわいい声」という位置づけで登場します。
あまり知られていないパリの裏歴史をテーマにしたAmberさんのPodcastはこちら


本音で語る

1年ほど前にこのPodcastを聞き始めて、私が一番最初にハマって繰り返し聞いたのは’Episode 118. Sick in Japan‘でした。

大学を出て、やりたい仕事も特に無く、実家に帰って鬱々と過ごした日々。とにかく早く家を出たくて、バルセロナ辺りで英語の先生をやろうかと思った時に、どうせ海外に行くなら、全然文化の違う日本まで行った方が面白いよ!と親友に薦められた事。ワクワクしながら数ヶ月かけて準備を整えたこと。

家を出る時にはお母さんに泣かれ、お父さんに車で送ってもらい、 空港で車を降りた瞬間に、知り合いもいない遠い国にひとりで行く不安と後悔が突然襲って来た事。 飛行機の中で何も食べられないほど日本に行くのが怖くなったこと。でも日本の空港に降りたった時、ここにも自分と同じように人間が暮していて、空気があって、重力があるってことが分かった、どうせなら楽しもう!と思ったこと。

私は成人男性が「不安と後悔でものすごく怖くなった」と本気で言っているのを初めて聞いたような気がします。恐らくリスナーの語彙にあわせるという目的もあると思いますが、ルーク先生がいつも(イギリス人らしからぬ)シンプルな言葉で率直に本音を語ってくれるところも、このPodcastの魅力のひとつだと感じています。


自身も第二外国語で苦労している

ルーク先生は上述したとおり、パリに住んでいます。が、フランス語の習得にかなり苦労しているようです。奥様は英語が堪能で、自身も英語を教えている為、フランス語を切実に必要とする場面があまりないのだそうです。

しかし、フランスに何年も住んでいるにもかかわらず、未だにフランス語が堪能だとは言いがたい苦悩については、たびたび語っています。「フランス語が話せない言い訳だけが日々上達している」状況との事。

「だから、僕は英語を学ぼうとしている人の気持ちが本当によく分かるよ!」ということです。


ヒーローとしての英語教師

Luke先生は時折冗談で、自分をヒーローになぞらえたり、世界を救うミッションを負っている、と話す事があります。でもこれはもしかしたら冗談ではないのかも、と時々思うのです。


とても普通の人っぽいのもLuke先生の良いところ

Photo by Esteban Lopez on Unsplash


世界中に様々な理由で英語を学んでいる人がいて、しかもその中には学ぶための時間やお金を充分にかけられない人が大勢いること*、大半の人が志半ばで挫折してしまうこと、でも英語を学ぶ事がいかにその人たちの人生をよい方向に変える武器になりえるかを、この先生はもしかしたら意識しているのかもしれません。

*Luke’s English Podcastは膨大な量の全Episodeが全て無料で聞けます!WOW!しかし投げ銭は常に受け付けていますし月500円ほどでPremium会員になるとレベルの高い有料エピソード(こちらはかなり濃密な英語の授業という感じ)も聞く事が出来ます。

そのため、飽きさせず、時には笑わせ、感動させ、励まし、ハッパをかけ、とにかくリスナーに英語の勉強を諦めさせないように、全力を尽くしているように思います。


Podcastっていいものだ

無茶苦茶熱く語ってしまいましたが、Luke’s English Podcastはイギリス英語だけではなく、とにかく英語を勉強したい方、イギリス好きの方、海外の文化に興味がある方なら、多分誰でも愉しめるPodcastだと思います。

Podcastの良い所は移動中や昼休み、お風呂の時間、家事の合間に、など何かをしながら聞けるところ。数時間の番組をいくつかスマホにダウンロードしておけば、通信量を気にする事もありません。寝る前にミルクティーを用意してのんびり楽しむのもおすすめです。 リスニングの効果は確実に出てます! 是非一度お試しあれ。

Luke’s English Podcast



投稿者: sakura_beta

生まれも育ちもずっと札幌、100%ピュアな札幌民。 2016年5月3日、突然イギリス人ミュージシャンのポール・ドレイパーさんを発見して、完全にハマり、ポールさんがツアーをするたびにイギリスまで見に行っています。 好きな食べ物はビールですが最近は1杯でも飲むと次の日に響きます。テレビは全然見ない。大体いつもひとりで行動します。ポールさん以外の音楽をほとんど聞かないので、洋楽の話をされても分かりません。 たまにイギリスに行くため、やむを得ず英語の勉強をしていますが、この間イギリス人に「Your English is so very terrible.」といわれました。soとveryって一緒に使ってもいいんですね!どうもありがとう。

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