Oyster Cardを買うのに苦労した話


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クレジットカードはICチップ必須

すでに書いた通り、私は2017年に初めてイギリスに行った際、ICチップのない、磁気のみのクレジットカードしか持っていなかったために、旅行中ほとんどの店でカードが使えないという悲劇に見舞われました。

Oyster Cardを気軽に買うことができるロンドンの地下鉄駅の券売機も、ICチップ付きカードのみの対応です。2019年現在、日本で一般的に入手できるクレジットカードはもう殆どがICチップ付きだと思いますので、あまり心配はいらないと思います。

しかし念の為、 海外に旅行に行く際には、ご自分のカードに間違いなくICチップが付いていることと、暗証番号、利用限度額は確認しておくことをおすすめします。旅行前にカードで旅行の為の買い物を沢山して、いざ現地に行ったら限度額ギリギリになっていて、ほとんどカードが使えなかった…などのうっかりも避けたいところです。


Oyster Card(オイスターカード)とは

交通系ICカードに急に「牡蠣」って名づけちゃう躍動感がイギリス人ぽくて良いと思います。

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さて、Oyster Cardです。 Oyster Cardはロンドンエリアで使える交通系ICカードです。デポジットは5ポンドで、必要な金額を駅の券売機などでチャージして使用します。(カードを返すと5ポンドが戻って来るそうです) ロンドンエリアは広大で、ヒースロー空港もロンドンエリアの中に入っています。

国内の旅行でも同じですが、不案内な土地の移動で、電車やバスの切符を乗車の都度買うのはストレスがたまります。 Oyster Cardがあれば地下鉄やバスに乗る際、黄色いパネルにカードをタッチするだけで良いので、 残額には気を配る必要はあるものの、基本的にはとても便利だし気が楽になります。

地下鉄が混雑しがちなロンドンではOyster Cardの利用が推奨されており、利用を促進する為、一日の利用がある一定のボリュームを超えたら、それ以降課金されないようになっていたり、切符を買うよりかなりディスカウントされた料金で乗ることができたりと、高いインセンティブが設定されています。バスに至ってはOyster Cardを持っていないと乗ることもできないとのこと。1日だけならワンデーカードでも問題ないと思いますが、数日滞在したり、今後も何度かロンドンを訪れる事になりそうな場合は入手したほうが良さそうです。

ロンドン名物ダブルデッカー。2階に行くか1階にとどまるか、いつも迷ってしまう。Oyster CardとGoogle Mapさえあれば、ロンドン近郊はどこでも大丈夫!

Oyster Cardの入手

Oyster Cardは事前に日本で購入する事も可能ですが、手間や送料を考えると、現地入手する予定で問題ない*と思います。ロンドンの地下鉄駅の券売機や、駅に入っているキヨスクのようなお店で気軽に買うことが可能です。SuicaやPasmoのようなものですね。但し、日本のように交通機関以外の小売店や飲食店で使える場所はあまり見かけません。

* 面倒に陥る可能性も無くはないですが…私のような間抜けな例はあくまでレアケースだと思います。

地下鉄駅の券売機はありがたいことに日本語表記に切り替えることができます!Oster Cardが買えてチャージ(Top Up)ができるマシンと、チャージのみのマシンがあるので気をつけましょう。画面の一番下には国旗が並んでいて、日本の国旗を選ぶと日本語に切り替わります。「新規カードを購入する」を選んで、必要なカードの枚数とチャージ金額を選んで、現金を入れるか、クレジットカードを入れてカードの暗証番号を入力したらOKです。とても簡単です!私でもできました。


どうしてこうなるの!?

さて、ここからが私、独自のトラブルです。なぜか券売機からOyster Cardが出てきません。画面上は通常に取引が終わった様子で、特にエラーなどが発生している様子もありません。ただ、物理的にカードが出てこない。

意外なところに取り出し口があるのかな?と泣きそうになりながらあちこち覗いてみましたが、どこにも見当たりません。大抵、駅のチケット売り場には係員のような、ガードマンのような方が立っていて、この時も制服を着た190cm×120kgはありそうな大柄な男性が近づいてきて「どうしました?」と声をかけてくれました。「私のオイスターカードが無い…お金を入れたんですが…」「いくら入れました?」と言いながら、券売機を拳骨でガンガンで叩き始めます。「5ポンド、プラス30ポンド…35ポンドです」

散々機械が殴りつけられた後(私のせいでゴメンよ機械)、別のスタッフが呼ばれて券売機の裏に入っていきました。雑談を交わすほどの英語力も無い私は、 ニコリともしない大柄な男性スタッフと2人、無言で立っているしかありません。こういう時に天気の話でも出来ると良いんですけどね…。そのまま待つこと約15分。何がどうなったのかはわかりませんが、とにかく機械のどこかにつまっていたらしい私のカードが取り出され、ついに30ポンドがチャージされたOyster Cardを入手することができたのでした!ブラボー!

この手のトラブルは自分では避けようがありません。 ただOyster Cardを買うというだけでこれほどの大騒ぎ。 しかし Oyster Cardを到着初日に買おうとしたら売り切れておりその後2つの駅に立ち寄っても買うことが出来ず、この駅でやっと入手できたOyster Cardは私の目には宝物のように輝いて見えたのでした。(先が思いやられる…)


イギリスとクレジットカード


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現金派?クレジットカード派?

突然ですが皆さん、クレジットカードってどんな風に使ってますか?

「毎日使うよ!」「現金派だから基本持ち歩いてないよ」「クレジットカードにはもう二度と手を出すなって家族から言われてる」「審査に通りません…」等、クレジットカードとの付き合い方は人それぞれですよね。

私はイギリスに行きはじめるまでは、ローンを組む感覚でしかクレジットカードを利用していませんでした。少し大き目の買い物をする時だけカード払いで、その他は全て現金払い。何となくの習慣です。


ヨーロッパではクレジットカード必須

しかしヨーロッパに行くとなると話は別です。私が数十年前にヨーロッパに行った時には、すでに現地では日常的にクレジットカードが使われていました。

2017年秋、初めてイギリスへ行く旅で、私は手持ちのクレジットカードを2枚持っていこうと考えていました。いずれもカード会社に暗証番号を確認し(何故か地元ではカード使用の際に暗証番号を聞かれたことがありません。全てサインです。田舎?)、ポンドと円で現金も準備をして、お金についてはもう安心、と思っていたのです。


イギリスと日本の(私の)カード事情の違い

思い返せば、自分の過ちに気がつくのが遅れたのは、最初のホテルのチェックインで問題なくカードが使えてしまったから、かもしれません。宿泊料は事前に決済済みでしたが、チェックインする時にフロントの方が説明してくれたところによるとどうやら、そのホテルではデポジットが100ポンド要る、ホテル内での利用がなければ全額後で返金される、ということのようでしたので、カードを手渡しました。そこでは何も問題なく使用が出来たのです。

なんか変だぞ?と気づき始めたのは、「ロンドンに到着したけどOystar Cardが買えなかった事案」の翌日、憧れのミュージシャンのライブを見られる当日の事でした。 せっかくロンドンに来たんだから少し観光でもしよう、まずはAbbey Road Studioかな?と、ホテルを出た私はぶらぶら歩いてビートルズファンの聖地に向かったのです。

これがAbbey Road Studiosだよおっかさん(*母はストーンズ派です)

途中で小さめの地下鉄の駅があったので、立ち寄ってみましたが、券売機に私のクレジットカードを入れても反応しないのです。操作が分からない。ここで最初に「?」と思いました。機械の調子が悪いのかな?(ポジティブ)

次に見つけたのも小さな駅でした。カードを差し込んでも情報を読み込んでくれません。なんだろうなぁ。最悪、現金で買ってもいいんだけど…。でも何かがおかしい…?(鈍い)

「誰かに聞けばいいのに」と思うでしょう。私もそう思います。でも聞けないんですよ。ネットで調べられる事であれば、ギリギリまで諦めずに検索したい。もちろん英語が話せないからというのが一番の理由なのですが、元々の性格というのもあります。あんまり人に話しかけたりしたくない。散々検索しましたが、「ロンドンの地下鉄駅で使えないクレジットカード」について、情報を見つけることが出来ませんでした。

3つ目の駅でもカードが使えず、「???」と思いながら、すっかり歩き疲れていたので、Oyster Cardはやむを得ず現金で購入することにしました。5ポンドのデポジットと30ポンドのチャージ。実はここでもまた問題が発生したのですが、それはまた別の話です。


石のお金?

その後買い物の際にカードを店員さんに渡す、読み取ろうとしても機械が反応せず、店員さんが怪訝そうに首を傾げてカードをしげしげと眺める、などの事態が連続発生。周りを観察して、鈍い私もさすがに問題を理解し始めました。


2019年の現在ではかなり日本でも状況が変わってきましたが、2017年当時、私の地元札幌では、カードを店員さんに渡した時の動作は、読み取り機械の横に設けられた細い溝にカードを滑らせて、カード裏の磁気情報を読み取ってくれる、というのがほとんどでした。ほとんど、というより私が知る限り100%その方式でした。

でもイギリスのカード読み取りは違いました。溝にカードを滑らせていない。周りから暗証番号の入力が見られないように小さな覆いのついた、手のひらサイズのテンキーのような端末です。ホテルのカードキーのように自分でカードを差し込んで、暗証番号を入力して決済するものです。最近日本でもよく見かけるようになりましたよね。


で、私のカードです。2枚ともICチップ、付いていません。恐る恐るカード会社のサイトを見ると「2018年から新しいカードに切り替えの際、順次ICチップ付きのものをお送りします」と記載があります。

…遅いんじゃー!!!!!

つまり「原始人の日本人が現代のイギリスに石のお金持ってきちゃった、てへっ(はーと)」ということのようです。そりゃ使えませんよね…。どうやらスキミング対策のため、EUでは何年も前にクレジットカードにICチップを搭載することが義務化されていたみたいです。なるほど〜。この旅では、使える場所ではカードを使い、あとは現金を大切に使っていくしかありません。


まだIC無しのクレジットカードが使えるところもある

問題を自覚した時に最初に心配したのは、鉄道のチケットのことでした。日本からオンラインで予約していた全ての乗車券と指定券を、指定した駅の機械で自ら発券する必要があり、それには決済時に使ったクレジットカードが必要だと記載されていたからです。

ドキドキしながら指定した鉄道駅に行ってみると、幸い発券機はICチップなしのクレジットカードにも対応していました。良かった!もし使えなかったら、窓口に行ってこのややこしい事態を英語で説明しなければなりません。もしくは予約していたチケットを全て諦めて買い直さなければなりません。本当にホッとしました。


この旅の間、石で出来た私の原始的なクレジットカードをあちこちで差し出してみました。ホテルのフロントは全て使用OKでした。それとハロッズ。高級デパートのハロッズは大丈夫ですよ皆さん!おもちゃ売り場でクマのぬいぐるみを買って、恐る恐る「このカードは使えますか?」と差し出してみたところ、素敵なお姉さんが「もちろんですわ、マダム」とニッコリ微笑んで、円建てにするかポンド建てにするか聞いてくれました。さすがハロッズ。大好きハロッズ。いつかあそこのデパ地下のオシャレなイートインで何かを食べるのが夢ですが、たぶん一生無理かな。

イギリスにライブを見に行くたびに、好きなミュージシャンの身代わりとしてクマをひとり連れ帰るという風習があります 。10体ぐらい貯まったら本人と交換して貰えないでしょうか。ダメですか。

帰国ののち、持っていたカードの片方を即効解約し、ICチップのついた新しいカードを入手しました。以降、イギリスではどこに行っても自信を持ってカードを使っています。そして普段から使ってないと常識についていけないなと殊勝に反省し、今では日本でもほとんどの支払いを電子マネーとクレジットカードで行っています。原始人から現代人へ。石のお金から電子マネーへ。進化を遂げた私とクレジットカードのお話でした。